電子監視:グローバル漁業の主要ツール

政府とRFMOによる公海上の貨物船監視の改善方法について

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電子監視:グローバル漁業の主要ツール
Kai Honkanen/Getty Images/PhotoAlt

概要

毎年、何千もの商業漁船が世界の公海を航行し、イワシや大マグロなどを巻網で漁獲しています。データが入手可能な直近の2014年には、国家による管理管轄外の海域で操業する漁船による漁獲高は440万トンで76億ドル相当でした。1この規模での漁業が持続可能であることを確認するため、地域漁業管理機関(RFMO)は、管轄地域で漁獲およびその他の船舶活動を正確に追跡できなければなりません。

漁業の監視は難しく、船舶が沿岸から遠く離れた場所で操業している場合は特に難航します。漁業に関する完全なデータを収集するため、多くのRFMOでは監視員がすべての巻網船に乗船することを義務付けています。ただし 、漁 獲、混 獲、漁 業 努力、および 規 制の順 守に関するより多くの 情 報を収 集するために、他の船舶タイプに対しても監視の範囲を広げる必要性があることは管理者、科学者、およびその他の利害関係者も認識しています。

電子監視(EM)は、RFMOによる漁船の捕捉範囲を拡大できる実績のある手法です。EMシステムはすでに幅広い船舶に搭載されており、高品質で費用対効果の高い監視データを生成できます。適切に設計されたEMプログラムを導入し、漁船の漁獲量、漁業活動、廃棄量に関するデータを収集分析することは、RFMOで資源状態を測定し、持続可能な漁獲戦略を採用し、より強力な施行ツールを開発するなど、管理のための適切な意思決定を行う上で役立ちます。

電子監視

従来、漁業活動と漁獲量に関して船舶ごとに情報を収集するには、漁業監視員を乗り組ませることが主な方法でした。ただし、監視範囲を広げる必要が生じた場合、監視員を増やすことは追加の費用や船内スペースが必要になることが、漁業者にとっての課題となってきました。

この場合、電子監視は効率的で費用対効果の高い代替手段となります。通常、漁具センサーとビデオカメラに接続された集中コンピューターのシステムにより、規制当局が船舶活動をリアルタイムで監視し、記録できるようにしています。また、すべての漁業活動を網羅するEMシステムの設置と運用は、監視員を乗り組ませるよりも大幅に安上がりになることが実証されています。削減できる費用は漁業の規模と種類によって異なりますが、ペルーで行われた2018年の調査でEMシステムは監視員が行った場合の半分のコストと見積もられています。2アラスカのタラ籠漁船の場合、コストは監視員の場合よりも2741%削減されると推定されています。3デンマークの商業刺網漁船の場合、15%削減されると推定されています。

海上で25,000日超にわたってEMのパフォーマンスを追跡調査した結果、システムにより航海日誌の記録精度が向上し、違法、無報告、無規制の漁業が削減され、生物多様性と保護が懸念される混獲種に関するデータ収集が増加し、法令遵守を監視する規制当局の能力が増強されることが実証されました。5

電子監視の利点

標準化して適切に導入した場合、電子監視には以下のメリットが考えられます:

  • コスト削減。特に監視要員への依頼費用が高額になる場合に見込まれます。
  • 雇用の創出。データを分析し、システムを保守する人材を雇用できます。
  • 0透明性。船舶所有者または漁業会社が船舶の漁獲量と活動を監視して、合法性を確保できるようにします。
  • コンプライアンス。資源保護および管理措置および国際的責務に準拠する文書作成を支援します。
  • 海上での生活の質(QOL)。限られた空間の船舶で必要な監視乗組員の数を減らすことができます。
  • 天候に左右されない。魚の個体数と生息地の状態に関するデータを広範に収集して、アダプティブな管理を実現します。
  • 24時間稼働。EMは労働時間の違いや天候の影響を受けず、乗組員を追加するよりも手間がかかりません。
  • スケーラビリティ。初期投資が必要となるものの、いったん最低限の規格が決定されれば、EMはRFMOによる漁具/船舶の各種タイプに実装できるスケーラブルなオプションになります。
  • データインテグリティ。EMは監視員や導入方法、賄賂、脅迫、強要、または他の形態の人間的なバイアスの影響を受けません。

最も重要なのは、電子監視を活用して狭い監視範囲を補完し、管理者が持続可能なポリシーを確実に遵守できるように支援することです。

このような理由から、このテクノロジーはすでに多くの国で採用されており、今後さらに広がる可能性があります。

電子監視の種類

各種電子監視テクノロジーを組み合わせることで規制当局のニーズを満たし、利用可能なリソースを最大限に活用できます。船舶ではこのシステムを活用して監視乗組員を補完し、科学的に必要なデータを収集したりコンプライアンス状況を監視したりすることができます。6

多くの場合、EMシステムの有効性は船舶で使用される漁具の種類に影響を受けます。延縄漁船での調査は、定点カメラで引き揚げられた魚のデータを一度に1匹ずつ簡単に記録できるため、たいていの場合有効です。7刺網漁船と延縄漁船の両方からデータをサンプリングしたオーストラリアの調査では、「平均すると、EM担当者が分析した漁獲量と漁業者の航海日誌で報告された漁獲量は、刺網漁船よりも延縄漁船の方が近似している」ことが明らかになっています。8ただし、EMはトロールや巻網を含む様々な漁具で効果的であることが実証されています。

EMシステムにはいくつかの制限があります。生物学的データは収集できず、混獲や廃棄を減らすための手順など、甲板外で行われている緩和措置の遵守を監視できない場合があります。さらにカメラの電源を入れて、レンズがきれいなことを確認するなど、乗組員による基本的なメンテナンスが求められます。ただし、これらの課題の多くは、慎重なカメラ設置、乗組員へのトレーニング、さらに港湾での耳石や生殖腺などの生物学的サンプルを港湾で収集することによって対応可能です。

電子監視の標準

EMプログラムを適切に設計して、船舶に搭載されているテクノロジー以上のものを組み込む必要があります。公海で操業する漁船は複数の管轄区域で漁業を行うため、効果的な電子監視を行うには、標準について合意がなされていることが求められます。それは、地域監視プログラムで使用されているような標準的なもので、収集される情報の正確性と一貫性が保証されるものであるべきです。プログラムを効果的かつ効率的にするためRFMOは標準を策定することで、監視員がいるときと同様の正確性や一貫性をもってデータを収集し、情報が一律に共有、レビュー、監査されるようにする必要があります。

まとめ

電子監視テクノロジーの進歩により、漁業管理を改善し、透明性を高めて説明責任を向上させる点で、規制当局、漁業者、およびサプライチェーンの他の業者にとって役立つ多くの可能性が広がっています。ただし、効果的な電子監視プログラムを導入するつもりなら、RFMOはかなりの労力をかける必要があります。

公海上の監視を改善し、透明性を高めるため、PewではRFMOに対して以下のことを提言しています:

  • 電子監視を導入するための標準、仕様、手順を採用し、適切なインフラに投資して、既存の報告および監視プログラムとすり合わせること。
  • 電子監視で監視乗組員プログラムを補完し、船舶活動の100%の監視を求めること。
トロール船底部の前方索具に取り付けられた固定レンズカメラ。
EDF/Leslie Von Pless

巻末注

  1. E. Sala et al., “The Economics of Fishing the High Seas,” Science Advances 4, no. 6 (2018), 10.1126/sciadv.aat2504.
  2. D.C. Bartholomew et al., “Remote Electronic Monitoring as a Potential Alternative to On-Board Observers in Small-Scale Fisheries,” Biological Conservation 219 (2018): 43,  http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006320717307899.
  3. S. Buckelew et al., “Electronic Video Monitoring for Small Vessels in the Pacific Cod Fishery, Gulf of Alaska” (North Pacific Fisheries Association and Saltwater Inc., 2015), 19.
  4. L. Kindt-Larsen et al., “Observing Incidental Harbour Porpoise Phocoena phocoena Bycatch by Remote Electronic Monitoring,” Endangered Species Research 19, no. 1 (2012): 75-83.
  5. Bartholomew et al., “Remote Electronic Monitoring,” 35-45; T.J. Emery et al., “Changes in Logbook Reporting by Commercial Fishers Following the Implementation of Electronic Monitoring in Australian Commonwealth Fisheries” (Indian Ocean Tuna Commission, 2018); H. Hinz et al., “Video Capture of Crustacean Fisheries Data as an Alternative to On-Board Observers,” ICES Journal of Marine Science 72, no. 6 (2015): 1811-21, https://doi.org/10.1093/icesjms/fsv030; Kindt-Larsen et al., “Observing Incidental Harbour Porpoise.”; J. Larcombe, R. Noriega, and T. Timmiss, “Catch Reporting Under E-Monitoring in the Australian Pacific Longline Fishery” (2016); M. Michelin et al., “Catalyzing the Growth of Electronic Monitoring in Fisheries: Building Greater Transparency and Accountability at Sea” (2018); K.S. Plet-Hansen et al., “Remote Electronic Monitoring and the Landing Obligation – Some Insights into Fishers’ and Fishery Inspectors’ Opinions,” Marine Policy 76 (2017): 98-106; J. Ruiz et al., “Strengths and Weakness of the Data Elements Currently Collected through Electronic Monitoring Systems in the Indian Ocean” (2017); C. Ulrich et al., “Discarding of Cod in the Danish Fully Documented Fisheries Trials,” ICES Journal of Marine Science: Journal du Conseil 72, no. 6 (2015): 1848-60.
  6. S. Dunn and I. Knuckey, “Potential for E-Reporting and E-Monitoring in the Western and Central Pacific Tuna Fisheries” (Western and Central Pacific Fisheries Commission, 2013), https://www.wcpfc.int/node/5586.
  7. T.J. Emery et al., “Measuring Congruence Between Electronic Monitoring and Logbook Data in Australian Commonwealth Longline and Gillnet Fisheries,” Ocean & Coastal Management 168 (2019): 307-21, http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S096456911830574X; E. Gilman et al., “Precision of Data From Alternative Fisheries Monitoring Sources Comparison of Fisheries-Dependent Data Derived from Electronic Monitoring, Logbook and Port Sampling Programs from Pelagic Longline Vessels Fishing in the Palau EEZ” (working paper, 2018); M. Piasente et al., “Electronic Onboard Monitoring Pilot Project for the Eastern Tuna and Billfish Fishery” (2012).
  8. Emery et al., “Measuring Congruence.”
The front facade of the Supreme Court of the United States in Washington, DC.
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