データレビューとプライバシー

強力なデータ基準と乗組員・漁業者保護の間でバランスをとる必要性について

このファクトシートは、地域の漁業管理組織が電子監視プログラムを開発する際に考慮すべき重要な事項をまとめたシリーズの1つです。

概要

電子監視(EM)システムを設置した数千隻の漁船により収集されたデータを管理する作業は、国のプログラムよりも地域漁業管理機関(RFMO)の場合に複雑になるかもしれません。利害関係者への働きかけを通して、 RFMOはプログラムの目的を達成するためにEMシステムを使用して収集するデータ、レビューするデータの 割合、レビューする主体を決定しなければなりません。EMプログラムの開発のこの段階で、RFMOは利害関係者のデータアクセスとプライバシーの懸念も検討します。

ビデオ記録のレビュー方法と標準化

データの抽出とビデオ記録のレビューは、EMプログラムの重要な要素であり、最もコストがかかる可能性があります。レビュー対象のビデオ記録が増え、データが詳細になればなるほど、プロセスのコストが増大します。 RFMOは、最小限のデータ基準を満たす必要性と、コストを増やしてプログラムに過度の負荷をかけないこととの間のバランスを慎重に図ります。また、どのデータフィールドを電子システムで収集し、どのデータフィールドを監視担当者が収集するのが最適かを検討します。例えば、EMでは漁船で混獲したサメの個体数を識別できるものの、種類の識別には時間がかかるかもしれません。いずれ人工知能によりレビュープロセスが効率化されるかもしれないとはいえ、この最先端テクノロジーはまだ導入の段階にはありません。表1は検討対象となる3種類のビデオレビュー方式を概説したものです。

送信するビデオ記録はEMシステム全体で標準化し、すべてのファイルフォーマットについて、必要とされるレビューアのソフトウェアすべてと互換性が確保されるようにします。このようにすることで、一元化されたすべてのEMデータに必要な「クリーニング」作業が減り、必要に応じて効率的にレビューを実施できます。

表1

ビデオ記録についての考えられるレビュー方式

レビュー方法 主なデータソース 長所 短所
全数調査:漁業全体の推定値を算出するために展開したすべての漁業活動、またはサブサンプルのレビュー(漁獲努力量、時間、場所、目標や目標以外の漁獲データなど)。 EMビデオデータ
  • 高いデータ品質
  • レビュー時間/コストの増大
  • 特定の手順で漁獲物を取り 扱う必要の可能性
航海日誌の監査:漁業活動のサンプルのランダムなレビューを実施し、漁船が報告する航海日誌データと比較 航海日誌
  • レビュー時間/コストの削減
  • 漁船が提供するデータを活用 できる
  • データ品質が良好
  • 特定の手順で漁獲物を取り 扱う必要の可能性
  • 航海日誌報告データのみに 使用可能
法令遵守:コンプライアンス違反イベントのビデオ記録の基本レビュー EMビデオデータ
  • レビューコストは非常に低い
  • 漁獲物を取り扱う特定の手順 は必要ない
  • 最も基本的な機能に限定さ れる(廃棄したか、など)

© 2020 The Pew Charitable Trusts

航海日誌の監査に関するその他の検討事項

航海日誌の監査は、ほとんどのEMプログラムで最も一般的に使用されているビデオレビュー方式です。表1に概説されている方法の中で、この方式ではコストにも最も大きな影響があります。この監査方式によりレビュー費用は大幅に削減されますが、その意外なメリットは自己申告のデータが管理上の判断材料として役立つため、プログラムに対する現場の賛同が得られることにあります。

ビデオ記録のレビュー主体

EMプログラムの構成は、ビデオ記録のレビュー主体に影響します。レビュー主体についてプログラム設計者 には、国の漁業機関、第三者機関、RFMOスタッフという3つのオプションがあります。(表2を参照。)

表2

レビュー体制

レビューモデル 検討事項
水産関連政府機関のレビュー:加盟国政府によるレ ビューの実施
  • 加盟国が独自に能力を増強する必要がある
  • 加盟国間でデータ所有権が複雑化する可能性、およ び各国の管理担当者間でばらつきが生じる可能性
  • 漁業者のプライバシーに関わる問題が発生する可能 性がある
  • スタートアップコスト(スタッフの雇用とトレーニング、 レビューステーションの購入など)が障害となる可能 性について
第三者機関のレビュー:ビデオ記録を確認し、指定され た基準を満たす処理済みデータを配信する第三者機関のサービス契約(民間EMベンダーまたは準政府機関と の契約など)
  • 政府機関はEMビデオ記録のレビュー機能を内部で ゼロから構築する代わりに、契約管理者として単独 で行動できること
  • 現地での雇用について懸念がある場合、国内のレビ ューが求められる可能性があること
RFMOスタッフのレビュー:RFMOスタッフによるEMビデオ記録の分析
  • スタートアップコスト(レビューセンターの設立など) が高くなるかもしれないものの、集中管理レビューセ ンターを設立するなら複数の加盟国に設立するより もメリットが多い可能性がある
  • レビュープロセスを自国で管理することを希望する 加盟国から抵抗される可能性がある。排他的経済水 域内や自国籍の漁船から取得したデータを共有した がらない場合がある

© 2020 The Pew Charitable Trusts

レビュー後のアクセス

漁業管理者はビデオ記録の扱い方について、またどの主体が未加工の映像と処理データにアクセスできるかについての合意を詳細に記載したEMデータアクセスチャートも作成します。このシステムで複数の国の排他的経済水域や公海が関係する漁業の場合は国の水産行政機関のレビュー体制が複雑になるかもしれません。データアクセスの構成はEMプログラムによって異なりますが、漁船が航行に関するビデオ記録やデータにアクセスできれば、多くのメリットがあります。この情報は業界にとって貴重であるだけでなく(船内業務の評価や安全性の監視など)、業界の支援を得るための重要なインセンティブとなります。EMデータフローのマップを作成することで責任の主体、費用の負担者、データの活用方法を明確にすることができます。

プライバシー

利害関係者がEMシステムに関して抱く最大の懸念の1つはプライバシーです。RFMOは、乗組員のプライバシーからデータの機密性に至る問題を考慮しなければなりません。懸念がある中でも、EMプログラムの効果的な実施において、データ収集は最優先事項であることに変わりありません。

プライバシーに関する懸念は、RFMOでEMプログラムの目的を設定する際に対処します。EMシステムは、 EMデータを活用した漁業の改善方法について利害関係者が合意できるように、参加型の透明性の高い方法 で開発します。また、承認されていない関係者に記録が共有されないような仕組みをRFMOに導入します。 漁業管理者は以下のプライバシーに関係する要素について検討します:

  • 職場のプライバシー。以下の手順で監視カメラを人ではなく魚や釣り具に向けることができます:
    • カメラ設置時、乗組員に録画内容を見せて、あらゆる懸念に対処する。
    • 漁業活動が発生したときだけに録画をトリガーするセンサーを設置する。センサーの設置には、ストレージ容量が最大化される付随的なメリットもあります。
  • 船外データの機密性。職場のプライバシーや監視されることの一般的な懸念に加えて、業界関係者は 機密データの不正利用の可能性を懸念しているかもしれません。監視プログラムやRFMO航海日誌漁獲データの機密保持の取り決めに活用されるデータプライバシー基準をEMプログラムのモデルにできます。 例えば、特定の目的についてのみデータを分析し、検査後は未加工の画像を削除するなど、厳格な契約に基づいて、独立した第三者機関にEMレコードのレビューを求めることもオプションの1つになります。水産 行政機関またはその他の利害関係者は、第三者がコンプライアンス違反イベントまたはRFMOがレビュー の必要性に同意したその他のインシデントを観察した場合にのみ、未加工のビデオ記録を受け取ります。

まとめ

包括的なデータとレビュー基準は、EMプログラムの科学的管理的プロセスに必要な情報を収集分析すると同時に、乗組員や漁業者の強力なプライバシー保護を確保するために不可欠です。管理者はこれらの要素を設計する際に、ベンダー、漁業者、および業界関係者からの意見を求めて取り入れ、これらの要件でプログラムの目的を達成できるようにするとともに、利害関係者の懸念に対処します。

The front facade of the Supreme Court of the United States in Washington, DC.
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