2019年Pew海洋保全フェローシップ受賞者が決定

気候変動は、沿岸生態系、漁業管理、生物種保全などの分野のプロジェクトにまたがる課題

2019年Pew海洋保全フェローシップ受賞者が決定

2019年Pew海洋保全フェローの一人、Shari Fox(シャリ・フォックス)の率いるチームが、北極海の海氷上を移動中に休憩しているところ。Fox(フォックス)は、地域資源の持続可能な利用に関する指標とガイドラインを策定するための研究の一環として、イヌイットの猟師や長老たちと協力しています。

Henry Huntington(ヘンリー・ハンチントン)

このたび、2019年のPew海洋保全フェローシップ受賞者(以下、フェロー) として8名の科学者と環境保全の専門家が世界中から選出されました。この8名は、海洋の酸性化、サンゴ礁やマングローブ林の消失、脆弱な漁業管理、絶滅の懸念が高まっているサカタザメやケープペンギンなどの生息数減少といった、重要性の高い様々な問題に取り組んでいます。受賞者とそのプロジェクトはいずれも、多様な海洋生物種と生息域の保護に関する大きな貢献が期待されることから選出されました。

The Pew Charitable Trusts(Pew財団) の環境調査・研究プログラムのディレクターを務めるRebecca Goldburg(レベッカ・ゴールドバーグ)は、「気候変動、生息域の喪失、乱獲などが海洋生態系に与える影響が拡大する中、こうした課題に取り組む専門家を支援し、海洋資源管理の効果を高めていくことが、かつてないほど重要になってきました。今回新たに選出されたフェローたちは、深刻化する海洋の問題に取り組んでいる歴代の受賞者たちのコミュニティーに新たに加わることになります」と語ります。

Pew海洋保全フェロープログラムは、1996年からこれまでに39カ国172名の海洋の専門家にフェローシップを授与してきました。各フェローは、15万ドルの研究費を授与され、3年間にわたるプロジェクトを実施して、ひっ迫している海洋保全の課題に取り組みます。いずれのフェローも、ハイレベルな研究によって世界の海洋生物の効果的な保全を支えてきた中堅の科学者や専門家であり、卓越した実績の持ち主です。

フェローシップによって実施されたプロジェクトは多くの場合、プロジェクト期間終了後も長きにわたって成果を発揮します。例えばこれまでに、新しい海洋保護区の制定、漁業管理手法や体制の改善、より効果的な海洋生態系の保全などにつながってきました。またフェローたちは、しばしば他のフェローとのコラボレーションにより、互いの専門知識を活用し、海洋に差し迫った脅威に取り組むことができています 。

Pew海洋保全フェローは、海洋科学および海洋保全分野の名だたる専門家からなる独立した国際委員会により、選出されています。

2019年のフェローおよびそのプロジェクトの一覧はこちらをご覧ください。

Polita Glynn(ポリータ・グリン)は、The Pew Charitable Trusts(ピュー財団)の海洋保全フェロープログラムのディレクターです。